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2006年 07月 20日
25<X<30
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ぼくは、昔からずっと、よいこだった

父親は理解があったし
母親からは溺愛されていたし
妹もぼくのことを尊敬していたみたいだった

小さい頃から、ずっと
運動神経はそんなによくなかったけれど
走るのだけは、はやかったし
何度も何度も、クラス委員をやった
勉強するのも、いやじゃなかった

ぼくはその頃、絵をかくのがすきだった
きれいなものをみたら、すぐ絵がかけるようにと
小さなサイズのスケッチブックを買ってもらった
36色入りのクーピーと、24色のえのぐも
写生大会でなにかの賞ももらった

ともだちも多かった
すきな女の子ができると、いつもその子の方からすきだといわれた

おとなの人たちがいい、という学校にすすんで、
みんながうらやましい、という会社につとめはじめた

昔の話だ。


家族には、もう何年も会ってない

すきになった女の子はみんな、ぼくからはなれていった
「あなたって、おもしろくない人ね」
なにかの約束事みたいに、みんなそのことばを置いていった


ぼくは、スケッチブックを持ち歩かなくなった
きれいなものに目を向けることもなくなった

それは、おとなになったってことなんだろうか

小さい頃、きれいにみえてた世界は彩りをなくした
色とりどりのえのぐやクーピーなんて、必要ないじゃないか

ぼくはじぶんの足元ばかりをみている
すくわれないように
黒のかわぐつと、灰色のアスファルト
ほら、やっぱり


救われない。


じぶんのつまさきの絵でもかいてみようか
きっとじょうずにかける

うまれてはじめて思いついた、おもしろいことのような気がして
ひさしぶりに笑った
ついでに、決めた

きれいな色のランニングシューズを買おう

ぼくは、けっこういい年だけれど、はじまりはじめることは、できるかもしれない

by another--heaven | 2006-07-20 01:23


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